【体験者の声】アスリート 鈴木一真さん(23歳)

体験者の声

静岡からアメリカへ——プロサッカーの世界に挑戦

鈴木一真さんは1996年生まれの23歳。現在、Crimsopeのメインパートナーであるプロサッカーチーム1904FCに所属しています。米国プロサッカー3部リーグNISA (National Independent Soccer Association) の特色の一つである“アマチュア枠”を活用してプロ契約を目指す鈴木さんは、同リーグにおいては唯一の日本人選手です。

“アマチュア枠”とは、各チームに3枠だけ許されている選手登録枠で、この枠に登録された選手は、プロ契約を結ぶ前の段階でリーグの公式戦に出場することができます。元々は“練習参加”という形で1904FCに合流していた鈴木さんでしたが、その可能性を認められ、チームはアマチュア枠の一つを鈴木さんに使用することを決定。2019年はシーズン終盤の2試合に出場し、ホーム最終戦では先発出場を果たしました。

静岡県浜松市出身の鈴木一真さんがサッカーを始めたのは5歳の頃。幼稚園の体育教室でサッカーを体験したことが、そのきっかけでした。父親がサッカー経験者だった影響もあり、日常的にサッカーに触れる機会も多かったといいます。

鈴木さんは、小学生時代の6年間を聖隷ジュニア・フットボール・クラブで過ごし、中学時代はジュビロ磐田のジュニアユースに所属していました。その後も聖隷クリストファー高校四日市大学でプロ選手を目指してサッカーに打ち込んできました。

掴んだ挑戦のきっかけ

鈴木さんがアメリカに渡るきっかけを手にしたのは大学4年生の時。大学卒業後に海外でのプレーも視野に入れていた鈴木さんは、お世話になっていた大学の職員の方から福岡で開催される米国プロサッカー合同セレクションの話を聞きつけます。日本国内で海外チームのセレクションがあるという話はあまり聞いたことがなく、この機会に受けてみることを決意しました。

渡航先がアメリカだったことも、セレクションを受ける要因の一つになりました。アメリカは英語圏であり、今後のキャリアを考えても視野を広げることができると考えたのです。鈴木さんはこのコンバインでアメリカ4部のプロ育成リーグUSL2 (USL League Two) に所属するサンディエゴゼストFCからオファーを受け、渡米を決意しました。

鈴木さんは、サンディエゴゼストFCで2019年夏のシーズンを戦い、13試合で9得点2アシスト、シーズン終盤には3試合連続2得点という結果を残しました。

チャンスを掴み、その身一つで飛び込んだ異国の地。そこで早速結果を残した鈴木さんの姿を見ていたのは、同じサンディエゴのプロチームである1904FCのアレックス・ゴントラン監督でした。ゼストFCの試合の視察に訪れていたゴントラン監督は鈴木さんの可能性を見出し、鈴木さんは1904FCのプレシーズンへの招待を受けます。

鈴木さんはゼストFCのシーズン後に一時帰国。1904FCと鈴木さんの仲介役を担ったCrimsopeとのやり取りを続け、準備が整った後に再度渡米し、秋から練習生として1904FCに加わりました。現地の選手やヨーロッパからアメリカに渡った選手達も練習生として参加していましたが、チーム内で頭角を表した鈴木さんがシーズン途中で登録枠を手にしたことは前述の通り。鈴木さんは、選択肢を得ては決断を下し、次のステージで実力を証明しては、その次の選択肢を得るという形で一歩ずつステップを上がってきたのです。

アメリカのプロチームに所属するということ

では、鈴木さんは言語も文化も異なるアメリカの地でプロサッカーチームに所属し、どのような生活を送っているのでしょうか。

起床は午前6時半。シーズン中、チームの練習は週6日あり、午前7時半には練習場所であるサウスウェスタン・カレッジでチームに合流します。午前8時からストレッチや筋トレをこなし、9時からグラウンドでの練習を開始。正午前には練習を終え、昼食をとった後、午後1時からチームでのビデオセッションが始まります。

ビデオセッションでは、公式戦や練習の映像を見ながら、監督・コーチらが選手達と「この場面のこのプレーは何を考えていたのか」といった議論を重ねます。ビデオセッションは長い時には2時間におよび、細かいチェックが行われます。

1904FCのコーチ陣について、鈴木さんは「とてもフレンドリー」としながらも「サッカーをすごく知っている」と語ります。コーチ達はフランス、ロシア、イギリスから集っており、欧州のトップチームでも採用されている練習・分析のメソッドを採用しています。例えば、1904FCの選手達はテストを受けてプレースタイルを分析し、プロファイルを参照して同じタイプのトップ選手を割り出します。鈴木さんの場合は、元フランス代表のカリム・ベンゼマ。プロファイルが同じ選手を目標にしてプレーすることができるようになったと言います。

このように、コーチ陣は技術や身体だけでなく、意識の面でも選手を鍛えています。周りの動きを意識させるために耳栓をして練習をさせるなど、フランス仕込みの頭を使ったプレーを習慣づけるトレーニングも。鈴木さんは、チーム練習については「日本と比べるとハードではない」と語る一方で、コーチ陣への信頼も口にします。一人でもできる練習は自主性に委ね、チームと合流した際にはコーチやチームメイトと過ごす時間にしかできないことをやるというのが1904FCのスタイルです。

鈴木さんは、チームの練習後に英語の勉強に取り組んでいます。勉強をした後は夕食を食べて寝る。次の日の練習に備えます。食事は自炊で、日本の食材を扱っているスーパーでお米などを調達。プロチームに所属しているという意識を忘れず、食事にも気を遣うようにしているといいます。

夜に1904FCの試合がある日は、お昼にチームで集合し、サッカーの試合の映像を見て士気を高めていきます。これもゴントラン監督のスタイルです。アウェーゲームの日にはチームのバスで移動し、ホテルで昼食をとってからスタジアム入りするというスケジュール。チームメイトと共に行動する時は、鈴木さんはポジションが近い選手と話をします。まだ流暢な英語を話すことはできませんが、身振り手振りを交えてコミュニケーションをとっています。基本的にはサッカーの話をしていますが、チームメイトの誕生日パーティに参加するなど、交流を深めています。

プロの舞台に立って感じたこと

そのようにしてチームと行動を共にしてきた鈴木さんが初めてNISAの試合に出場したのは、米時間の2019年10月20日。アーバインのチャンピオンシップスタジアムで開催されたカリフォルニア・ユナイテッド・ストライカーズFC戦でした。途中出場で約30分間、フォワードのポジションでプレーした鈴木さんは、「初めてのプロの試合でしたが、チームが負けていたので、やるしかないと思って積極的にプレーしました」と振り返ります。ホーム最終戦で先発出場を果たした時には、事前にスタメン入りを伝えられていました。

「先発で出るということが分かっていたので準備は進めていましたが、結果を出すことはできませんでした。後悔というか、そこで結果を出せる力がまだないと感じたので、来シーズンは結果を出せるようにオフシーズンを過ごそうと思っています。」

一歩ずつステップを上がってきた鈴木さんらしい謙虚なコメントです。一方で、実戦を経験したことで気づいたことは多かったようです。

「相手選手は身体が大きくて強いというイメージです。でも、スピードや技術では負けていません。もっとボールを受けるためにチームメイトの信頼を得る必要があると、試合を通して感じました。」

1904FCのホームスタジアムはSDCCUスタジアム(旧クアルコムスタジアム)で、2016年まではNFLサンディエゴ・チャージャーズ(現ロサンゼルス・チャージャーズ)の本拠地として使用されていました。全米でも有数の一流スタジアムであり、サンディエゴ唯一のプロサッカーチームである1904FCは観客の入りも良好です。ホームゲームでは鈴木さんの名前が入った旗を持ったサポーターもいました。鈴木さんはプロの舞台で、その第一歩を踏み出したのです。

プロの試合を経験した今、鈴木さんが自身のサッカーキャリアにおいて目指す次のステップはプロ契約です。更にその先にはヨーロッパでのプレーも見据えています。元セネガル代表のデンバ・バ、ベルギー代表で現在はレアル・マドリードに在籍するエデン・アザールがオーナーに名を連ね、フランス人のアレックス・ゴントラン監督が率いる1904FCは、アメリカで見つけたダイヤの原石をヨーロッパに輩出することを目標の一つとしています。今季も3名の選手が練習生としてフランスのプロチームへ送られる予定です。

アメリカで認められて、いずれはヨーロッパへ——どのような形になろうとも、鈴木さんは“きっかけ”を掴み続け、ステップ・バイ・ステップでサッカーキャリアを積み重ねていきます。

アメリカに行くことを考えている方へ——
「海外での生活は不安に感じることが多いと思いますが、本当に行きたいという気持ちがあるのであれば、今しかできないことを優先して、海外に出てみるべきだと思います。私は今までの考え方が大きく変わりました。日本では味わえないことがアメリカにはあり、世界に出て視野も広がりました。国を越えれば様々な考え方に触れることができますし、海外に出ることでプラスになることが必ずあると私は確信しています。
「それがダメだったら、その後どうする?」と聞かれることもありましたが、やれる自信がありましたし、そのような考え方では渡米はできないと思います。私は条件が揃った時点で、すぐに渡米することを決めました。」

Crimsopeと出会って——
「代表の大澄紅希さんは実際に1904FCの中で働かれていて、私が1904FCから誘いを受けた時も日本にいる私によく連絡をくれていました。現地の状況などを詳しく教えてくれていたのですが、渡米のタイミングなども含めて、常に私にとって最善の道を真剣に考えてくれていました。アメリカ現地で経験を積んで来られた方からの助言でもあり、信頼して準備を進めることができました。」

 

Crimsopeができるのは、きっかけづくりまでです。ベストな条件、ベストなタイミングを伝え、“挑戦の場”に繋げることがCrimsopeの役割です。

コンバインへの参加、渡米とサンディエゴゼストFCへの参加、練習生としての1904FCへの参加など、鈴木さんは目の前に現れたきっかけを掴み続けました。そして、きっかけを掴むたびにひたむきに努力と準備を重ね、結果を出し続けました。
次に鈴木さんを待ち受けるのは、どのようなステージでしょうか。

Crimsopeが提供するプログラムに関するお問い合わせは、以下のリンク先から。

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